【宮城での断熱性能】ZEH、HEAT20から考える断熱性能「UA値」と気密性「C値」はどれくらいが適正か
以前、UA値、C値について素人ながら簡単に説明させていただきました。
miyagi-house-kosodate.hatenablog.com
では、快適に生活するために宮城では、どの程度のUA値、C値が求められるのかということを考えていきたいと思います。
結論から言いますと、
UA値:0.34未満
C値:0.7未満
を目指すべきなのではないかというのが私個人の考えです。
(全くの素人が自分の家を快適にするために求め出した数値です。)
UA値の基準は?
ZEHのUA値基準
まず、UA値にはいくつか基準があります。
有名なところではZEHの基準です。
建設地により、「地域区分」というのが割り当てられており、大まかには
・1地域:北海道 北部、東部
・2地域:北海道 南部、西部
・3地域:北東北
・5、6地域:その他の大部分の地域
・7地域:宮崎県、鹿児島県
・8地域:沖縄県
となっています。
「1地域」は寒い地域で、数字が上がるほどに温暖な地域になっているというわけです。
宮城県は「4地域」に該当します。
そして、ZEHでは建設地域ごとにクリアすべきUA値の基準が設けられています。
ZEHのUA値の基準は
・1地域:0.46
・2地域:0.46
・3地域:0.56
・4地域:0.75
・5、6地域:0.87
・7地域:0.87
・8地域:-
となっています。
宮城県では「UA値 0.75」をクリアすれば良いということになります。
ZEHのUA値基準(宮城で0.75)は緩い
しかし、ZEHのUA値基準は非常に緩いです。
国が定めた基準で、頑張れば多くのハウスメーカー、工務店がクリアできるような基準になっています。
昔は、UA値の基準はなかったようなので、「(うちの実家のように)冬の廊下はほぼ外気」みたいな家が多いと思います。
家の中での温度差が大きく、(リビングと廊下、トイレ、脱衣所などの温度差)は大きく、高齢になればヒートショックなどによる健康被害も時々ニュースなどで取り上げられていますね。
ZEH基準を満たせば、「屋内にいるのに外気のように寒い」という経験はせずに過ごせると思いますが、それでも家の中の温度差はまだ大きいです。
また、熱が逃げていってしまう分、冷暖房費もかさみます。
これからの家作りではHEAT20のG2レベルを目指す(宮城ではUA値 0.34)
「一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会(HEAT20)」が提唱している断熱基準があります。
こちらではUA値の数値基準ではなく、「室内の温度低下」、「省エネルギー性」に基準を設けており、G1〜G3のグレードを設定しています。(G3が最高レベルです)
ざっくり説明すると、4地域の宮城の場合、G2では
・(人がいるところだけ暖房する部分間歇暖房で)13℃を下回らない
・平成28年基準との比較で、50%のネネルギー削減
という基準になっています。
これをクリアするために概ね必要なUA値というのが示されていて、
4地域でG2レベルは「UA値 0.34」となっています。
(ちなみに4地域 G1は「UA値 0.46」、G3は「UA値 0.23」です)
全国的に高断熱、高気密住宅を提供するハウスメーカー、工務店さんでは、この「HEAT20のG2レベルはクリアしていこう」、「HEAT20 G2を標準にしていこう」という動きがあるようです。
最高レベルのHEAT 20 G3(宮城ではUA値 0.23)じゃダメなのか?
HEAT20 G3レベルにすれば、とても快適に生活することができると思います。
一方、4地域でのG3「UA値 0.23」をクリアしようと思うと、建設費用が大きくなります。
断熱性能を上げることには、快適に生活するという目的もありますが、省エネという目的もあります。
断熱性能を上げることで冷暖房費を削減することができますが、
「G3まで断熱を上げる費用」と「G2までにしておいて快適に過ごすための冷暖房費用」
を天秤にかけた場合、35年間くらいだとG2までにしておいたほうが総コストが安くなるみたいです。
* ただ、電気代はこれから徐々に上がる予定みたいですし、ガス代もあがってきていますので、その辺を加味したり、日本人の平均余命が延びていることを考えて、「今後50年くらいは家に住むかな」と考えるとできるだけ断熱性能は上げておいたほうが総コストは抑えられるかもしれません。
** とはいえ、4地域でG3レベルの「UA値 0.23」はかなり厳しいです。
壁の断熱に外断熱を付加して、トリプルサッシにしても「UA値 0.33」くらいでした。
屋根の断熱を厚くして、「UA値 0.28」まで下げた人もいると聞きましたが、それでも「0.28」です。それ以上を望むと、窓の数を減らすとかしないと厳しいのかもしれません。
C値には基準がないが、0.7未満が望ましい
断熱性能を示すUA値には基準が設けられている一方、気密性を示すC値には基準がありません。
個人的にはC値は0.7未満を目指すのが良いのではないかと思います。
理由としては、
1) C値 1.0で室内に入る空気の割合が「換気装置によるもの 50%、隙間から入るもの 50%」になる。
2) C値 0.7のモデルハウスに宿泊体験したときに、エアコン1台でも家中快適だった。
が挙げられます。
C値 1.0というのは、一般的なサイズの住宅であれば、家全体でハガキ1枚ほどの大きさの隙間があるということになります。
ここまで隙間を減らして、ようやく換気装置の意義が出てきます。
気密性が低い家では1種換気は機能しない
主に熱交換器を用いている1種換気装置を採用する場合には、特に気密性は重要なポイントです。
1種換気を採用しても、気密が低ければ、家に入ってくる空気はほぼ隙間から入ることになり、熱交換器は機能していない状況になります。
1種換気を採用している土屋ホームさんの宿泊体験した際には、リビングのエアコン1台のみの稼働で、家中快適な温度になっていました。
その土屋ホームの営業マンさんは、引き渡し前に気密測定をして「C値 0.7未満」でないと引き渡しをしないとおっしゃっていました。
一方、同じ条件(リビングエアコンのみ稼働、エアコン温度設定、1種換気採用)に設定してもらい、別のハウスメーカーの40坪の家の見学会に参加した際には、家中、寒かったです。
1種換気の換気口から出る空気の量も少なく、思わず「換気は切ってるんですか?」と聞いてしまったほどです。
そこのハウスメーカーの営業マンさんに伺ったところ、「C値は2.0を切ることは可能です」とのことでした。
つまり、そのハウスメーカーではC値は1.8とかその辺の数値が限界ということだと思います。
まとめ 家の性能はUA値とC値をセットで考える
断熱性能が同じでも、隙間から入ってくる空気(隙間風)が多ければ、その分、家は冬は寒く、夏は暑くなります。
家の性能を考えるとき、UA値とC値は一緒に考えて、ハウスメーカーを比較しないといけないと思いました。
ということで、
・UA値 HEAT20 G2の0.34以下
・C値 土屋ホームさんで体験した0.7未満の快適さ
というのを基準に家作りを進めることにしました。
暖かくなって桜も満開です!